【経済コラム】「美女軍団」が日本の男社会を揺さぶる−W・ペセック

【経済コラム】「美女軍団」が日本の男社会を揺さぶる−W・ペセック

>浮き彫りになったのは「日本だけは特別」という従来の考え方がもはや通用しない現実だ。人口の半分を占める女性を「美女」だの「女刺客」だのという言葉で片付けてしまうことの是非は、かつては差別問題の範疇(はんちゅう)だった。それが今では、経済協力開発機構OECD)も注目する経済問題になった。OECDは、女性の社会進出は日本の潜在成長率の向上につながるとみている。

不平等な扱い

国連も日本の女性差別の現状に苦言を呈した。国連女性差別撤廃委員会は先週、日本政府に対し、差別根絶に向けた是正措置を取るよう勧告した。

日経平均株価構成企業225社に女性の最高経営責任者(CEO)は1人もいない。日本政府がまとめた「男女共同参画白書」によると、日本女性の政財界への社会進出度ランキングは、モルドバタンザニアに次ぐ54位。世界全体に占める日本経済の割合を考慮すれば、この順位はかなりひどいものだ。

ただ先月の衆院選で示されたように、状況は変わりつつあるのかもしれない。

このコラムの愛読者ならその理由をいくつか挙げられるだろう。今回の衆院選で最も重要な結果の1つは、選挙結果次第で女性の地位を変えられる可能性のあることが分かったことだ。これまでの選挙では、マクロ経済や大企業の問題が焦点になったが、今回は国民そして国民が直面する課題に注目が集まった。

棚上げという選択肢なし

自民党は女性問題にほとんど取り組んでこなかった。同党の経済政策は、全力を挙げて変革を回避することに重点が置かれた。1990年代から2000年代初めにかけて、成長の原動力を無駄の多い公共事業に託してきた。疲弊した企業を救済し、競争力の乏しい産業を保護し、円相場を安く抑え、銀行を支援して不良債権処理の先送りを可能にさせた。

この結果、日本経済は過去15年間にわたって低成長にとどまり、公的債務も国内総生産(GDP)のほぼ2倍の規模に膨らんだ。それでも自民党は「日本の人口1億2600万人の半分を占める女性をもっと活用すれば労働の質と経済成長の向上につながる」という海外エコノミストの意見に真剣に耳を傾けようとはしなかった。

男性と女性が同じ能力と仮定すると、男女それそれ5%だけを利用したほうが、男だけ10%利用するより

優秀な人間を活用できるのに、もったいない話だ。目の前にある宝に気付かないで、何を20年近く探しているのか?
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003001&sid=aqKqYGHY8FG0&refer=commentary

<雇用動向調査>入・離職率とも3年連続で減少…08年

<雇用動向調査>入・離職率とも3年連続で減少…08年
http://www.excite.co.jp/News/economy/20090908/20090909M20.040.html

雇用が硬直化しているね。

2009年9月8日 17時30分
就職・転職の減少幅が最大 求人低迷の08年、厚労省調査
http://www.excite.co.jp/News/economy/20090908/Kyodo_OT_CO2009090801000645.html

大学3年生の就職活動早くも激化 インターンシップに応募殺到

大学3年生の就職活動早くも激化 インターンシップに応募殺到
http://www.j-cast.com/2009/09/08049119.html

インターンシップが普及していくのはいいけど、期間が短すぎるな。面接の時のネタぐらいにしかならないだろう。一日では何も得られない。まあインターンシップ発展途上国の日本だからしょうがないか。

(参考)
インターンシップって何ですか(5)期間が短い日本の制度
インターンシップの本家のアメリカでは、3カ月、半年あるいは1年間も経験ができる。全学生の6割が体験し、期間中は休学したり卒業後に体験する者もいて、それによって学業や就職で差別をうけることがないようになっている。
http://syuusyokujouhou.com/2006/01/5_7.html

Japanese Economy Still In The Doldrums

Japanese Economy Still In The Doldrums
http://livenews.com.au/feature/japanese-economy-still-in-the-doldrums/2009/9/9/218774

>In fact the hesitant Japanese recovery is showing signs of losing steam. Industrial production rose at the slowest pace in four months in July, the unemployment hit a record high of 5.7%, household spending fell and retail sales eased and wages tumbled.

回復は鈍化しているね。このままだと再度マイナス成長になるんじゃないかな?

失敗が起こらない事を前提としたシステムから失敗がおこる事を前提としたシステムへ転換を

城繁幸さんのブログに、「真の再チャレンジ可能な社会とは、失敗を前提に設計された社会のことだ。」といい事が書いてあったので関連記事を。


英会話、ミス気にせずに=正確さ優先から転換−高校の新指導要領で・文科省
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2009090600086

これはいい話だね。人間は失敗するものだよ。失敗を恐れていては何事も上達しない。日本経済がいい例だ。

Failure Offers Lessons Japan Would Rather Forget
http://www.nytimes.com/2009/09/06/weekinreview/06goodman.html?_r=1&scp=2&sq=japan&st=cse

日本という国は失敗を前提としないシステム作りのために非常に非効率になっている。ゾンビ企業は生き残るし、社員は斜陽な企業にしがみつこうとするし、英会話は上達しないし、運転手はあわてすぎて線路から脱線してしまう。アメリカを見ると失敗を前提にした国づくりが行われているのがわかる。起業してもリスクは少ないし、日本のセンター試験に相当する試験は何回でも受験可。卒業後、世界放浪の旅をしてから就職活動しても全く不利ではない。30代や40代から大学へ通う人もいる。失敗を恐れないために大胆な行動ができる。日本が今必要なのは解雇されても、再チャレンジできるシステムの構築や派遣社員からでも正社員に簡単になれるシステムの構築なのではないか?失敗から学ばなければ、失敗はただの失敗に終わるであろう。そしてまた何度でも同じ失敗を繰り返す可能性がある。派遣を規制したり、解雇を規制するのは非効率になるだけで何も生まない。

単身とひとり親世帯の増 非正規雇用が生む貧困

単身とひとり親世帯の増 非正規雇用が生む貧困
http://www.excite.co.jp/News/politics/20090907/Economic_pol_090904_009_4.html

>男性の約3割、女性の約2割が50歳時点で一度も結婚したことがない『生涯未婚』の状態になると予測されている。また、高齢単身世帯も増加し大きな割合を占めつつあるが、その数は女性が圧倒的に多い」としている。

普通でないのが普通になる時代になるのかな。

>2人以上の勤労世帯において女性が世帯主である割合も、平成6年の4.8%から平成16年の8.0%に伸びている

こういう記事を読むと日本のシステムが崩れ始めてると感じざるを得ない。もはや「普通の家庭」だけを考慮して制度の構築は出来ないし、維持も不可能。普通でないのが普通になるわけだ。社会がそのような変貌を遂げようとしている時、日本のシステムは硬直化したまま変化に対応できていない。日本のシステムの多くは、リスクの計算が出来ていないという点で失格である。

日本の滅茶苦茶な雇用方法

賃金の支払われ方には、職務給と職能給というのがある。
日本では職能給を採用しているが、これと日本の新卒者の採用方法とは実は大いに関係ある。日本では、新卒者は大学で専攻した事と関係のない仕事に就くのも普通である。新卒者が何が出来るかという事を問題としないので、東大の学士の方が博士より評価が高くなると言う事も普通に起こる。このために日本は高度な知識、技術を必要するソフトウエア産業や金融では秀でなかった。高度な知識を学ぶインセンティブがほとんどないのである。日本が秀でたのは、大学で学んだ知識を生かす事が出来る製造業ぐらいと言っても過言ではないだろう。このシステムでは、一流大学へ入った事自体が評価され、学部、修士、博士で学んだ事はほとんど評価されない。従って諸外国では歓迎されている博士が歓迎されないという風変わりな事が起こる。何がいいたいかというと、職能給は日本の新卒者の採用方法に非常にマッチした制度で、職能給だからこそおかしな事が起きているとも言える。

では職能給から職務給に変えるとどうなるであろうか?欧米のように修士、博士の評価は学士より確実に高くなるであろう。学士、修士、博士は入る段階でそれぞれ違う仕事をすべきである。すべきと書いたが、出来る仕事により分けるのである。入った段階でほぼ横並びの給料ではなく差をつけるべきである。それがインセンティブにつながるのである。同一労働同一賃金は職務給と言い換えて差し支えない。現在の歪んだ、個人のインセンティブを奪う職能給を早急に見直すべきである。


(参考)
終身雇用がクリエーターを滅ぼす

池田信夫

http://ascii.jp/elem/000/000/402/402074/index-2.html